東京農工大学科学博物館支援学生団体 musset 『みゅぜっとにゅ〜す』

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実験を通して電磁石のおもしろさを伝える

こんにちは!mussetの阿部です。今回は、2019年12月サイエンスマルシェにて行った「探れ!電気と磁石の秘密」について振り返っていきたいと思います。

 

今回の企画について
 この企画では、電磁石を主に扱い、スライドを用いた説明と実験を通して「電磁石の仕組みを理解すること」と「身の回りで活用されている電磁石を知ること」を目標にしました。
 電磁石は小学5年生で習う内容であるため、小学校低学年の子供たちに説明するにはどうしても内容が濃く、難しくなってしまいます。そこで実験を多く取り入れ、目に見えない電気、磁気といったものをなるべく可視化して理解してもらえるようにしました。

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図1 図2 各テーブルでそれぞれ実験を行う様子

 また、実験を多く取り入れたことで、大学生1人が子供全員に向かって話す形式ではなく、各テーブルでmussetメンバー2人が3,4人の子供たちに話をする形式で行うことができ、コミュニケーションの時間を多くとれました。これによって、子供たちが電磁石についてより理解を深めることができたと感じています。
 実験中はもちろんですが、スライドを使って説明をするときにも途中で子供たちに何度か問いかけをして答えてもらうことで、ただ説明を聞いているのではなく企画に参加しているということを感じてもらえるように工夫しました。

 さて、ここからは企画の準備等について振り返っていきたいと思います。

 

テーマ設定について
 私自身が初めて電磁石を学び、その仕組み、はたらき、そしてどんなところで使われているのかといったことを知った時にとてもおもしろいと感じ、なぜかわくわくしました。そういった感情をこの企画を通して子供たちに少しでも感じて欲しい、と思いこのテーマを選びました。これを達成するために、まずは電磁石の仕組みを理解してもらい、そのうえで身の回りの電磁石について知ってもらうことを短期目標に、電磁気分野に興味をもってもらうことを長期目標に設定しました。
 企画中の子供たちの反応や企画後のアンケートを見ると、電磁石の仕組みを理解してもらうという点は、今回説明した範囲では達成できたと考えています。しかし、身の回りの電磁石については、説明の時間が押してしまい、企画の最後に駆け足で説明したためあまり子供たちの記憶に残らなかったかもしれません。

準備について
 準備では、他のメンバーと一緒にどのような実験を行えば電気と磁気について理解してもらえるかについて話し合い、考えました。当初の考えでは、電流の周りにできる磁場を方位磁石を使って見せようと考えていたのですが、方位磁石がわかりやすく振れるほどの磁場を発生させる電流を流すことは難しいことがわかり、その部分はわかりやすい動画を見てもらい、実際の会場では下図3,4のようなイラストと実際の銅線を使用して電流の周りにできる磁場の説明を行いました。当初の考えとは違う方法になりましたが結果的によりわかりやすくできたのではないかと思います。また、最後に砂鉄やクリップ、方位磁石を使って実際に電磁石の性質を見てもらいました。

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図3 図4 イラストと銅線を使って説明している様子

(黒い矢印が磁場を、黄色い矢印が電流を表している)

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図5 図6 実際に電磁石の性質を説明している様子



使用した道具について
・スライド
・方位磁石
・砂鉄
・クリップ
・トレー(砂鉄を広げるため)
・白紙(トレーの下に敷くことで砂鉄の動きを見やすくするため)
・棒磁石
・乾電池
・銅線
・抵抗器(1Ω)

サイエンスコミュニケーションについて
 上でも述べましたが、実験を各テーブルごとで行ったため、mussetメンバー2人に対して小学生3、4人ほどの割合で対応することができました。そのため、しっかりと参加者全員とコミュニケーションをとることができ、実験を通して多くのコミュニケーションをとることができました。実験をしながら「この向きに電流が流れたら磁場はどういう向きにできるかな?」といった質問をして、しっかりと的を得た答えが返ってくると説明がきちんと伝わっていることがわかり嬉しかったです。

企画を終えて
 以上で述べたようにして企画を行いました。私は当時学部1年生で、それまで先輩の企画を手伝うことはあっても自分の企画をもつのは初めてで不安が大きかったのですが、たくさんの先輩方や同期に助けられなんとか企画を成功させることができました。実際に自分が考え作った内容、スライドで多くの小学生相手に話をすることは楽しかったですし、小学生に自分が伝えたいことがしっかり伝わって理解してもらえた時はとても嬉しかったです。
 今回、自分で説明用のスライドを作るにあたって、ひと通り自分でスライドを作成した後に先輩方からスライドのデザインについての指導をしていただきました。修正を重ねるうちに、自分が作ったスライドがとても見やすくわかりやすくなり、デザインの大切さを再認識しました。また企画をもつ際には、自分でもデザインを勉強してもっと分かりやすいスライドを作らなければいけないと思いました。
 今回の企画は大変なこともありましたがとても良い経験になりました。機会があればまた自分で企画を担当したいです。